PRESEPE VIVENTE~実物でキリスト降誕再現~


イタリアのクリスマス期で特徴的なのは、この「プレゼーぺ」と呼ばれるキリスト降誕のシーンのジオラマ。

イエス・キリストが誕生したことを記念する12月25日のクリスマス=キリスト降誕日はイタリア語でナターレと呼ばれ、NASCERE(ナッシェレ=生まれる)という動詞から派生した言葉で、喜びと幸せの祝日でもあり、特に24日の夜は町は静寂で真夜中のミサに参列します。

毎年12月8日の「聖母無原罪の御宿りの日」(イエスの母マリアが、マリアの母アンナの胎内に宿った瞬間、神の恩寵により原罪から免れたというカトリックの教理)の祝日にクリスマスツリーやプレゼーぺの飾りつけが教会や各家庭でも行われ、1月6日のエピファニア「公現祭」(東方三博士がキリスト降誕を知り、貢物を持参し訪ねに行った日)の翌日に片付けるのが風習。

毎年この時期、いろいろな町を散策するたびに教会内部に設置された趣の異なるプレゼーぺを見て回るのが楽しみのひとつでもあるのですが、我が家近郊の小さな村で、人形ではなく村の人々が演じてくれる、PRESEPE VIVENTE(プレぜーぺ・ヴィヴェンテ)が公現祭のシーンを再現するとのことで、夜の9時頃開催のため防寒対策ばっちりして見に行ってきましたよ。


高台にあるこじんまりとした村の教会の周辺をベツレヘムの町に見立て、6ユーロ(約600円)の入場料を払い見学。

場内ではヴィン・ブリュレ(ホットワイン)や、チョコラータカルダ(ホットチョコ)、ポレンタ、焼きたてパン、りんごのフリテッレ(りんごが入った小さく丸めた揚げ菓子)、カルダロッステ(焼き栗)など、ピエモンテ風おもてなし満載。


銅版細工職人。素敵なキャンドルスタンドも。


綿布団職人


真っ赤になった鉄をハンマーでたたき蹄鉄を作っている職人

蹄鉄を付け替えるため、ロバの蹄を削っている、かなり手慣れたロバ使い少年。

このU字型の蹄鉄、幸運が舞い込んだり、災難から逃れるという言い伝えがあり、イタリアでは家の壁に飾りつけたり、車に置いとく人も多いんです。
あまりに物珍しく見ていたからなのか、シ二ョーレがひとつお裾分けしてくださいました。
「ブォナアンノ~、 ブォナフォルトゥーナ~(よいお年と幸運を!)」ですって。

洗濯する女性たち。共同洗濯場での風景。イタリアの町や農村には使用はされてないものの、共同洗濯場が取り壊されることなく、多々現存しています。

手打ちパスタ職人

羊毛から毛糸を紡いだり、編んだりする女性たち。

蝋を溶かし松明を作っている職人。場内のあちこちをこれらの篝火がゆらいでいました

素朴な絵柄で織り上げている手織り絨毯を作る女性

額縁や十字架の経年による変色を修復する金箔工芸職人

椅子の座面張り職人

木彫り職人

手前の木彫りの「最後の晩餐」はとても細やかで念の入る作業・・・・。
クネオ県(特にヴァライタ渓谷)の木工細工、家具はイタリアでも良質で有名です。


何人前!?専用釜戸でポレンタ(トウモロコシ粉を練ったもの)を練り上げる様子。

練りあがった熱々のもちもちしたポレンタに出来立てのバターをのせて溶かしながらいただきました。

あったか~い、ホットワインやホットチョコも気前よく振舞ってくれてたシニョーラたち。

これ、クネオ版グリッシーニ「RUBATA’(ルバタ、最後のタを強調し語尾上げ発音)」。

巷で有名なグリッシ―二はトリノで生まれ、引き伸ばしながら棒状にして焼くのですが、ルバタはクルクルねじりながら細長くし焼いたもの。
クネオ県ではこちらの方が親しまれているパンです。
薪釜から出来たて熱々を籠の中にいれて振舞ってくださいました!

こんなに香ばしいルバタ、久々~!

そうこうしてるうちに、東方の三博士たちもやってきましたよ。




メインのキリストが誕生した家畜小屋。聖母マリアもジュゼッペもとっても様になってました。
キリスト役の赤ちゃんも真冬の夜中に、なんておとなしくお利口さん。
写真には載せきれないのですが、180人ほどの村人たちが役者、
職人役の人たちは、みんな手付きが良く本職さんなのかと思いきや、みんな演じてたんだそう・・・。
お疲れ様、楽しませていただきました。

クリスマス時期は、このような各地方のプレゼーぺ見学や、真夜中のミサ参列はおすすめです。

カトリック教徒ではありませんが、24日の真夜中のミサ、厳粛で神聖な雰囲気は、自分自身の一年を振り返り、すっきりした気持ちで新年を迎えられるので毎年必ず参列せずにはいられない私事です。

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