今日は寒波到来!?というほど、北イタリア凍りつくような寒さに見舞われ、
朝からしんしんと雪が降り続いているピエモンテ。
滅多に積もることないリビエラ海岸線(リグーリア州)、とくに西側がひどくて、
ジェノヴァ~サヴォーナ間の高速道路も雪の為閉鎖。
昨日から床冷えする寒さはこれだったのね・・・・。
でも私は行ってきましたよ~、日曜日念願のオレンジ合戦を観戦しに
トリノから北へ50kmほど行った町イヴレアにて毎年催されているカーニヴァル。
馬車に乗った領主の衛兵と、その周りを取り囲んだ民衆に扮した人々が激しくオレンジを
投げ合う、他に類を見ない独創的な雰囲気を特徴としているもの。
もともとの由来は・・・・中世の領主が課す重税や圧政にひどく苦しめられ、それに加え、
結婚初夜は花婿ではなく領主と過ごすべしという掟も作り、独裁者とし好き放題、
ある夜、粉ひき屋の娘(ムニャイア)、ヴィオレッタにその試練が降りかかり、
衛兵たちに無理やり領主の下へ連行されました。
極悪非道な領主に勇敢に立ち向かった、ムニャイア・ヴィオレッタは彼の首を切り落とし、
それを城から町の民衆に見せたことから、城は瞬く間に民衆に攻め落とされたのだそうです。
「自由を勝ち取った」ムニャイアが、このカーニヴァルのヒロインで、
毎年ミセス・ムニャイアが選ばれ、オレンジ合戦開始前、広場で披露され
民衆から拍手喝采を浴び、合戦後に将軍たちを引き連れて、ミモザの花やキャンディーを
ばら撒きながら町を練り歩きます。
オレンジ投げ戦士は「アランチェーリ」と呼ばれています。
合戦前、正午過ぎごろから、荷馬車に乗った衛兵チームたちの登場。
ARANCERI CARRI DA GETTO(アランチェーリ・カッリ・ダ・ジェット)陣たち。
民衆チーム、ARANCERI A PIEDI (アランチェーリ・ア・ピエディ)もぞくぞくと自分たちの
陣地へ向かっています。
民衆は9つのチームに分かれ、陣地を守ります。
また、そのチーム名も・・・・PANTERA (黒ヒョウ)、SCORPIONE (さそり)、
DIAVOLO (悪魔)、MORTE (死者)などなど・・・・いかにもって感じのものばかりです。
合戦前、陣地へ向かう戦士、衛兵を待ち構えている様子は、なんだか、
サッカー観戦時の熱狂的なファン(ティフォージ)を見ているかのようでした。
広場の周りに山積みにされた、オレンジ箱の山々。
その後ろには防御用ネットがされていて、観衆は危険を逃れるため、
その中から観戦するのが無難。
カーニヴァルの伝統料理「白インゲン豆の煮込み」
「ファジョーリ・グラッシ」と呼ばれ、白インゲン豆と、
細かく切ったサラメッラ(豚肉ソーセージ)や豚の皮を大鍋で煮込んだもの。
カルネヴァーレの前日の夜に仕込まれ、当日朝から振舞われる。
時代は中世に遡り、地主たちが哀れみの意を込め、貴重な蛋白源の白いんげん豆を
配給していたところ、自尊心を傷つけられた民衆たちは、豆を投げつけ返したことが、
このオレンジ合戦の元祖なんだとか。
午後2時、ファンファーレが鳴り響き、ミセス・ムニャイアの登場です。
すっご~く、可愛らしいミセス・ムニャイアでした
義母も歴代のミセス・ムニャイアだそうで、この役に抜擢されたのが、とても光栄らしく、
最後まで成りきって、この祭りを盛り上げてくれてました。
護衛たちも、みんな凛々しく颯爽と馬に乗り、かっこいいですな~。
広場を埋め尽くしていた観衆も一斉に避難し、合戦の開始です
次から次へと広場にやってくる、荷馬車の衛兵チームたちを、オレンジでやっつけます。
荷馬車にも大量のオレンジが積み込まれているので、上から下から
観衆のところにもオレンジが転がってくるので、またそれを観衆達が面白がって投げ返しているので
四方八方どこから飛んでくるか分からなくて、近くに寄って写真を~なんて呑気な事
言ってられませんよぉ。
写真や映像で見る限り、ポコポコかわいらしく見えますが、男どもが本気で投げ合ってるので、
まともにくらうと相当いたそうです。
現に始めに待機していた場所が悪く、観衆にもまれてるうち、オレンジが飛んできて
腕にあたってしまい、まぁ・・・・けっこうな痛さでしたよぉ
衛兵チームたちは、なめし革で出来たフルフェースを着用。
戦い終えた戦士たち・・・・・。
砕け散ったオレンジの残骸・・・・・・・。
オレンジの爽やかな香り~に、ちょっと馬糞の臭いも混じり・・・・・何とも言えぬ芳香
が
辺りを漂っていた合戦後の広場。
「隷従から自由への解放」の象徴とされている赤い三角帽BERRETO FRIGIO (フリジア帽)を被った人たちでごった返し。
とにかく、この合戦には赤いものを被るか、身につけていないと戦士に狙われるとの
しきたりがあるので、町中が赤、赤、赤。
見ているほうは、ハラハラどきどき、エキサイティングだけど・・・・・
歴史と伝統を重んじ、子供から大人まで一丸となって祭りを盛り上げているのがひしひしと伝わってきます。
ピエモンテの面白さ、またひとつ発見できました。