最近は急激に気温も上がり、爽やかな初夏を通り越し、ムッとするような夏日の北西イタリアです。
今年も一年の折り返しを迎えますが、時の流れの速さには驚かされ、仏の心理学者ジャネーの法則「人間が感じる月日の流れや速さ」は本当に面白いなと感じる今日この頃です。
今回は毎年6月中旬に開催されている、TIGULLIOVINO主催の試飲会「TERROIRVINO」について。
ここ数年は、ジェノヴァ旧港PORTO ANTICO内にある紡績工場跡地で催されています。

場内の大きな窓ガラスからは、ジェノヴァ港が一望出来、何処かの国の億万長者の「動くお城」のようなクルーザが停泊しているのも眺められ、港の萎びていた倉庫をこういう風にイベント会場とし再利用するのは、とても良いアイデアだと思います。
私の好きな造り手さんのワインもお目見えしていましたが、此処最近、品質が向上したと感心させられ、狭い狭い土地の急斜面を利用しての物造りは並大抵ではない辛抱強さと情熱がないと出来ない、リグーリアのワインの事について触れておきたいと思います。
西リビエラのIMPERIA(インペリア)を見下ろす丘陵地で造られている、土着品種PIGATO(ピガート)種のみを栽培しているワイナリーVISAMORIS。
VIS AMORIS(ヴィス・アモーリス)とは”La forza dell’amore=愛の力”という意味の、愛があれば何でも出来るという何とも力強く、夫婦の団結と希望を感じる社名。
2004年創業ととても真新しいですが、PIGATOの洗練されたアロマを様々な醸造方法で引き出してみたり、、PIGATO100%のMETODO CLASSICO MILLESIMATOのスプマンテ醸造を試みたひとつの品種に拘り探求している実に面白いワイナリー。
PIGATO種はギリシャのTESSAGLIA(テッサリア)地方に起源を持ち、その昔中世の時代、ジェノヴァの植民地であった為、ジェノヴァ人によりリグーリアに持ち帰られた品種、MALVASIA BIANCA種のクローンであるとされています。
もうひとつリグーリアの代表的な白品種VERMENTINOと良く似ていることから、1世紀半前までは混同されてたらしく、地域によっては今でもVERMENTINO PIGATOと呼んでいるところもあるのだとか。
忘れかけられていた品種ですが、1830年西リビエラサヴォーナ県のアルベンガの内陸部にあるORTOVERO(オルトヴェーロ)村に、フランチェスコ・ガリオーロ司祭が植樹したのをきっかけに、サヴォーナ、インペリア圏域に広がり甦ったのです。

VIS AMORISワイン(右から説明)
・PIGATO100% METODO CLASSICO MILLESIMATO
瓶内2次発酵2年、PIGATOの果実味豊かなきめ細かい泡立ちの飲みやすいスプマンテです。
・REGIS
バリック樽で6ヶ月間バトナージュされた後、24ヶ月瓶内熟成されたPIGATO
・DOME’
ここのワイナリーのベース、60日間のスキンコンタクト後、ステンレス発酵を経て2ヶ月の瓶内熟成
一番PIGATOの特徴が出ている醸造方法!ワインも料理も「シンプル」なのが一番素材の本質を見抜く力を養えますよね。
DOME’とは西リグーリア方言で DI MIO (私のものだ)と断言する表現。
ワインの味わいとこのボトル名、革新と確信が入り混じったとても印象的なワインのひとつで私のお気に入りのひとつです。
・VERUM
果皮と発酵させた後、瓶内熟成6ヶ月
・SOGNO
温度管理の下マセラシオン後、ライトローストのバリック樽にて一部発酵させた後、10ヶ月瓶内熟成
・一番左は、PASSITOワイン
11月初旬まで糖度濃縮させたPIGATOを収穫し、厳選された果実のみから造られたデザートワイン、濃厚ですが甘さもすっきりしたのみやすいものに仕上がっています

その他のリグーリアワインは次回以降に少しずつ綴らせていただきます。
場内を後にしたのは夜の8時過ぎ・・・・・でしたがまだまだ辺りはこんなに明るく、潮風が心地よく、久々の潮の香が鼻を擽り・・・・もっと散歩していたい気分でしたが、夕食時でもあり、シーフード三昧にするか・・・・フォカッチャ・ディ・レッコにするか・・・、試飲試食後で空腹状態ではなかったため、軽めにフォカッチャを!
潮風と咲き誇る金木犀の甘い香りと、弾けんばかりのフクシア色のブーゲンビリア、夏のリグーリアの風情に浸りながらジェノヴァ港から海岸線伝いにのらりくらりとNERVI(ネルヴィ)を通り抜け、RECCO(レッコ)へ。
今日は毎回お世話になるVITTURINが店休日だった為、昔からあるMANUELINAへ。


パリッパリの出来立てのチーズ入りフォカッチャ、酵母が入らないので生地も軽くいくらでもいけそうです。
これからの時季のリグーリア楽しい事目白押しですね。
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